培った生産技術を活かす
ナミックスのスマート農業
データと技術で、持続可能な農業モデルをつくる
ナミックスは、ものづくりで培った技術を農業に応用し、地域と未来に貢献する新たな挑戦を進めています。
スマート農業の実証を行う新潟市北区のラボでは、データに基づく新しい栽培モデルづくりに取り組んでいます。
なぜ、素材メーカーが農業に?
ナミックスが農業の世界に踏み出したのは、地域の農業が直面する課題に、ものづくり企業として貢献できるのではないかという思いからでした。新潟では高齢化や担い手不足、気候変動など、農業の継続を脅かす課題が山積しています。そこで当社は、製造現場で培ってきた精密な環境制御や品質管理、データ解析の技術を活かし、持続可能な農業のかたちを探り始めました。
当初はCSR活動の一環として始まったこの取り組みですが、いまでは事業としての展開を見据えたステージに進んでいます。「経験や勘に頼らず、数値で栽培を見極める農業」——。ナミックスが目指すのは、データと科学に基づいたアプローチによって、誰もが安定的に作物を育てられる農業の実現です。
現在は、新潟市北区に設置したラボを拠点に、スマート農業の実証と検証を重ねています。製造業の知見を活かして、農業の“再現性”を高めること。それは、地域の未来を支える新しい産業の芽を育てる試みでもあります。
小学校跡地を活用したスマート農業の実践
ナミックスの農業事業と、スマート農業実証の拠点となっているのが、新潟市北区にあるラボです。小学校跡地を活用した約2,000坪の敷地に、温室ハウス3棟と完全閉鎖型栽培室3室を備えた実証施設が広がります。
ここでは、温度・湿度・日射量・CO₂濃度などを計測するセンサーを設置し、データをもとに自動で環境をコントロール。ハウス内では、遮光カーテンや換気システム、潅水装置を連動させることで、作物にとって最適な状態を維持します。これにより、天候や季節に左右されにくく、安定した生産を可能にしています。得られたデータはクラウド上に蓄積され、光合成や蒸散、養液のバランスなどの情報を一元的に分析。その結果を次の栽培に活かし、継続的に改善できる農業が展開されています。


北区の農園の役割は栽培技術開発。ここでの実証や研究を通じて、持続可能な農業事業の実現を図るとともに、「農業に挑戦したい」と思う人たちの背中を押し、新たな担い手が生まれる地域循環型の農業も目指しています。
データに基づく栽培環境の最適化
いま挑戦しているのは、データに基づくトマト栽培の最適化です。温度・湿度・日射量・CO₂濃度といった環境情報をセンサーで常時モニタリングし、そのデータをリアルタイムで解析。結果に応じて換気や潅水、遮光カーテンの動作を自動制御することで、作物がもっとも成長しやすい環境を維持します。
さらに、ナミックスが製造現場で培ってきた統計的な品質管理の考え方を応用し、環境データと生育データを照合。光合成や蒸散、養液の成分バランスを“数値の関係性”としてとらえ、甘みや収穫量を高めるための条件を探っています。これにより、経験や勘に頼らない、科学的なトマトづくりが実現しています。その成果のひとつが、糖度10度を超える高糖度トマトです。一般的なトマトの糖度が4〜6度程度であるのに対し、ナミックスの水耕トマトは平均9〜11度、最高で12度を記録。収穫期は約9か月に及び、長期間にわたって安定した品質を維持できることも実証されました。


このラボは、スマート農業の研究や実証を通じて、「どうすれば“おいしい”を再現できるのか」をデータで解き明かす、ナミックスの“実験室”でもあります。ここで生まれた成果は、今後の新しい栽培モデルや教育プログラムへとつながっていきます。
糖度10度以上のトマトができるまで
新潟市北区のラボでは、土を使わず特殊なフィルムと養液で育てる「フィルム栽培」によって、高糖度トマトの長期栽培を実現しています。およそ11か月にわたる栽培の流れは次の通りです。
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定植(2週間)
選抜した苗を栽培ベッドに植え付け、日射・温度・湿度・潅水をコントロールし育成。初期の根張り・活着を安定化させます。
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環境制御(1か月目以降継続)
センサーで温度・湿度・日射量・CO₂濃度を常時監視。遮光カーテンや換気を自動制御し、光合成を促す最適環境を維持します。
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養液管理(1か月目以降継続)
根に供給する養液の成分と量を週ごとに分析・調整。水分量や栄養素を細かくコントロールすることで、適度なストレスを与え甘みを引き出します。
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開花・受粉管理(1か月目以降継続)
開花期にはハチを活用した受粉を行い、最適な環境制御・養液管理により花つきや果実の成長を安定させます。
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収穫(3か月目以降継続)
通常のトマト栽培より長く、約9か月間にわたり収穫が可能。糖度は一般的なトマト(4~6度)を大きく上回り、9~12度の高糖度トマトが実ります。
ナミックスが目指す農業の未来
新潟市北区のラボに続き、ナミックスが計画を進める西蒲区の農業拠点は、実証型スマート農業の成果を広く社会に発信する拠点として位置づけられています。多くの来場者が「見る・触れる・味わう・学ぶ」体験を通じてスマート農業に親しみ、地域の食文化や次世代の人材育成にもつながる場を目指しています。
一方で、ナミックスの栽培技術開発はまだ基礎データの収集や部分的な改善が始まったばかりです。地域農業が新規就農、異常気象、事業収益などさまざまな課題を抱えるなか、この課題解決を国内外のさまざまな外部パートナーと協力して解決していきたいと考えています。
持続可能な地域循環型の農業モデルにより、未来の農業は、もっと身近で、もっと開かれたものへ——。
ナミックスは新潟から、そんな“誰もが挑戦できる農業”の実現に向けて歩み続けています。