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NAMICSのグローバル展開

対象は世界市場、売上げの海外比率は80%超

アメリカとヨーロッパ、シンガポール、韓国、中国、台湾には販売拠点、中国と台湾には生産拠点、そしてアメリカには開発拠点も。エレクトロニクス分野に舵を切った後、ナミックスはグローバル展開を加速させ、2017年には売上における海外比率が80%を超えました。

1999年の中国進出から始まった

「セラコート」はナミックスが初めて開発した日本初の防湿絶縁材料。これを出発点として、さらに高純度かつ高機能な絶縁材料を次々と開発してきました。しかし「セラコート」の国内需要が用途の減少により縮小し、生産中止も検討されていましたが、中国をはじめとする海外では依然として需要がありました。海外企業に加え、日本企業の海外進出に伴い、海外での需要が増えると読んだナミックスは、1999年に中国に生産拠点を設けます。パイロットプラント、つまり海外展開の実験と位置づけてのスタートでしたが、3年目には黒字化。海外戦略に確かな手ごたえを感じました。

ナミックスの製品は既製品が少なく、お客様とパートナーシップ契約を結び、共同で製品開発・改良するカスタムメイドが主流。そのためナミックスとお客様の間に代理店が入るよりも、直接やり取りした方が開発のスピードがアップし、また、現地の生きた情報も早く入手できます。そこで、「世界の工場」と呼ばれ始めた東南アジアに目を向け、生産拠点・販売拠点を展開していきました。

アメリカとヨーロッパが果たす役割

北米・欧州が発注→台湾・中国で生産→東南アジアに供給

一方、アメリカやドイツなどのヨーロッパは、海外売上高に占める割合では、台湾や中国、韓国と比べると低く、一見、非効率的な進出とも見えます。しかし、北米や欧州には発注に関する決定権を持つお客様がいるため、営業拠点が必要。つまり、北米と欧州で発注を受け、台湾や中国などで生産して、世界の工場である東南アジアに供給するというビジネスモデルです。

また、アメリカでは、2008年にマサチューセッツ州ボストン郊外の現地企業を買収して開発拠点化。国内とは文化が違い、開発状況も違うアメリカで、その国ならではの開発を学び、お客様との共同開発を円滑化する狙いや、マサチューセッツ工科大学など近隣学術機関との要素技術の共同研究など、産学交流による事業へのシナジー効果への期待もあります。
このような人財交流を盛んにし、社員のスキルアップにも役立てています。

台湾を拠点に東アジア制覇へ

2013年の台湾進出への背景には、台湾に有力なお客様が多いことに加え、もう一つ、別の理由がありました。それは、BCP対応です。災害後にできるだけ早く事業活動を再開し、継続するための対策は、2011年の東日本大震災以降、その必要性が指摘されるようになりました。つまり、災害ダメージに対してのリスク分散です。お客様からBCP対応を勧められた際、ナミックスでは当初、九州など日本国内での拠点展開を考えていました。国内工場のほうが品質管理や情報管理、機密保持が徹底しやすく、また、集中的な研究体制も組みやすいからです。しかし、海外への販売が主体となり、世界各地のお客様への確実な製品供給が求められる状況で、「日本国内だけではリスク分散として不十分ではないか?」との疑問が芽生えました。
お客様のサプライチェーン上では当社は重要な役割を担っています。その信頼に応えるべく、台湾に生産拠点を設立することを決断し、主力製品の海外生産も開始しました。また、販売面では、2010年代に各地の営業拠点の連携・強化を進め、東アジア全体を網羅する販売体制を確立しています。

2000年に7:3だった国内と海外の売上比率は、2010年に逆転し、2013年には3:7に、現在は2:8になり、8割を海外売上が占めています。20年かけて進めてきた海外戦略が、確かな、そして大きな結果を生み出しています。

2000年国内7:海外3 → 2013年国内3:海外7 → 2018年国内2:海外8

未来を担うはグローバルな人財

こうした海外での事業展開は拠点整備というハード面の取り組みだけで実現できたわけではありません。海外のお客様や研究機関との交流、海外の展示会や学会への参加、さらには経営者自らが海外に出て、信頼できる知己を得て販路の開拓をするというマンパワーも重要です。技術者には、最新技術や情報の入手だけでなく、見聞を広め、コネクションを作るためにも国内外の学会への参加を奨励。ボストンの当社のR&Dセンター、台湾工場の研究施設にも派遣し、グローバルな人財育成にも力を入れています。

今後、IoT製品や電気自動車、自動運転車の一般化、とくに中国市場での動向を注視しながら、世界のエレクトロニクス業界のサプライヤーとして責任を果たしていきます。